音響のプロが解説!パワーアンプの役割と選び方のポイント
2020.11.17音響店舗やイベントなどの音響を考える場合、スピーカーやアンプといった音響機器について知らなくてはいけません。さらに、アンプには様々な種類があり、それぞれ役割も違います。
今回はパワーアンプの役割や選び方のポイント、おすすめのパワーアンプをご紹介します。
パワーアンプとは
パワーアンプは、プリアンプからくる電気信号を増幅させ、スピーカーが鳴るレベルに引き上げるための音響機器です。音源から発せられた電気信号は、「プリアンプ→パワーアンプ→スピーカー」という順番で送られ、音として再生されます。
そもそも「アンプ」の役割とは?
アンプとは、音源からの電気信号を増幅させるための機器のことを指します。さらに、アンプには役割によって「プリアンプ」と「パワーアンプ」の2種類に分かれます。
プリアンプの役割
プリアンプは、音源から送られてきた微細な電気信号を増幅します。また、入力切り替えや、左右の音量バランス、音質の調整なども行えます。ただし、パワーアンプのようにスピーカーが鳴るレベルまで電気信号を増幅することはできません。
パワーアンプ(メインアンプ)の役割
パワーアンプは、冒頭で触れたようにプリアンプから送られてくる電気信号を増幅させ、スピーカーが鳴るレベルに引き上げるための音響機器です。
2つの役割を併せ持つ「プリメインアンプ」もある
プリメインアンプは、「プリアンプ」と「パワーアンプ(メインアンプ)」の機能を1つにまとめたものです。アンプの知識がない人でも扱いやすいというメリットがあります。
パワーアンプの種類
パワーアンプには、以下のような種類があります。
ステレオパワーアンプ
入力が2系統あるパワーアンプです。一般的にはメインスピーカーのLとRを鳴らすために使われます。
4チャンネルパワーアンプ
メインスピーカーのLとRに加えて、さらに2系統のボリュームをそれぞれ調整することができます。
ハイインピーダンスパワーアンプ
ハイインピーダンススピーカーと組み合わせることで、多数のスピーカーを鳴らすことができるパワーアンプです。店舗内BGM用の音響や会議場、イベントなどのシーンでよく用いられます。
デジタルパワーアンプ(Class D)
デジタルパワーアンプは、音声信号を0/1パルスに変換後、スイッチングアンプにて増幅し、増幅後にアナログ信号のみを取り出しスピーカーを鳴らします。アナログアンプと比べ、デジタルアンプは低発熱、小型軽量な点が特徴です。
パワーアンプの形の違い
パワーアンプには、アンプ単体のものとアンプ以外のものと一体になったものがあります。
単体型
パワーアンプ以外の機能が付いていません。組み合わせられる幅が広く、自分の音を作りたい人におすすめです。
パワードミキサー
パワーアンプとミキサーが一体になったものです。アンプとミキサーを別々に用意するのが煩わしい場合や、凝ったセッティングを必要としない場合などに便利です。
パワードスピーカー
こちらはパワーアンプとスピーカーが一体になったものでアクティブスピーカーとも呼ばれます。スピーカーユニットを鳴動するための最適なパワーアンプが内蔵されているため、無駄のない経済的なスピーカーシステムになります。
パッシブスピーカーとパワーアンプの組み合わせ方
パッシブスピーカーは、アンプを内蔵していないスピーカーのことです。ここでは、パッシブスピーカーとパワーアンプの組み合わせを考える際のポイントをご紹介します。
スピーカーの接続台数
パワーアンプに接続可能なスピーカーの台数は、接続方式がローインピーダンスかハイインピーダンスかによって異なります。
ローインピーダンスの場合、接続できるスピーカー数はパワーアンプのチャンネル数と同じです。
ハイインピーダンスの場合は、多数のスピーカーを接続することができます。スピーカーの定格入力の合計がパワーアンプの出力値以内であれば、何台でもパラレル接続することが可能です。
スピーカーの許容入力(PGM)とパワーアンプの出力(RMS)の関係
アンプとスピーカーの組み合わせを考える際は、「スピーカーの許容入力(PGM) > パワーアンプの定格出力(RMS)」が基本と言われますが、これはコンシューマーオーディオでのこと。プロオーディオでこの組み合わせを行うと納得のいく音が出ないのが現状です。また、小さな出力のパワーアンプで歪みを生じ、簡単にスピーカーを破損させてしまいます。
スピーカーの許容入力には「NOISE」「PGM」「MAX」の標記があります。プロオーディオではパワーアンプに十分な余力をもたせ、「スピーカーの許容入力(PGM)<パワーアンプの定格出力(RMS)<スピーカーの許容入力(MAX)」が一般的となります。その際、オペレーションミスやハウリングなどでスピーカーを守るため、DSPやパワーアンプでリミッターやコンプレッサーの設定が不可欠です。
パラレル接続の場合は要注意
パラレル接続を行う場合、スピーカー全体の抵抗値(Ω)が変化します。パラレル接続は、例えばスピーカー2本では空間全体をカバーすることが難しい際に行います。こういった場合に、さらに2台のスピーカーをパラレル接続すると、スピーカーの抵抗が8Ωであれば、半分の抵抗4Ωとなります。この時、アンプ側の出力は4Ωの定格出力(RMS)を考慮しなくてはいけません。
プロ厳選!おすすめのパワーアンプ
パワーアンプを選ぶ際は、スピーカーとの組み合わせ方が重要ですが、選ぶ際には音響機器に関する知識が必要です。スピーカーとパワーアンプがセットで販売されているものなら、あらかじめ組み合わせに問題のないものが揃っているため安心して使用できます。また、セット販売のものは価格面においてもお得に購入できるというメリットがあります。
小規模店舗におすすめのスピーカー+パワーアンプのセット
JATO online shop マガジン編集部
パワーアンプと、白で統一されたシンプルなスピーカーセットです。店舗内BGMやアナウンス用途など、様々なシチュエーションで活躍します。
JATO online shop マガジン編集部
サブウーファーとスピーカーがすべて黒のバージョンです。シックなデザインで落ち着いた雰囲気を演出します。
JATO online shop マガジン編集部
こちらのパワーアンプはシンプルな操作性に加え、高音質。セットのスピーカーは埋込型ですので、どんな内装の店舗にも溶け込みます。
おわりに
パワーアンプを選ぶ際は、用途や組み合わせる機器のスペックを把握することが大切です。「パワーアンプやスピーカーのスペックから組み合わせを考えるのが難しい」という場合は、用途にあったセット販売のものを検討してみても良いでしょう。
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