超指向性スピーカーって使えるの?音の聞こえ方やおすすめのシーンを紹介!

2022.10.27音響

超指向性スピーカーは、音が拡散せずに直線的に進むという特徴を持ち、ピンポイントに音を届けることのできるスピーカーです。「パラメトリックスピーカー」「超音波スピーカー」などとも呼ばれています。
音声の案内を、特定の場所にいる必要な人だけに届けたい、ほかの人には聞こえなくてよい、というときに役立つスピーカーです。
超指向性スピーカーとはいったいどのようなものなのでしょうか。一般的なスピーカーとは何が違い、どのような音が鳴ってどう聞こえるのでしょうか。

この記事では、実際にどんなシーンで活用でき、どのように聞こえるのか、という実用的な視点で紹介します!

スピーカーの指向角とは?

スピーカーには指向性があります。指向性とは、正面から左右や上下のどの方向に向かって音を届けることができるか、という性質のことです。一般的なスピーカーでは、正面方向に向かって強く音を届けることができます。そして、正面方向から角度がつくにつれて、届く音が弱くなっていきます。
強く音を届けられる範囲がスピーカーの指向角となります。具体的には、スピーカーの正面から角度を付けていき、-6dBになる範囲を指向角としています。

イベントなどではお客さんが広い範囲にいるため、ステージで喋っている人の声を広い範囲に拡声する必要があります。このような場合は、左右に指向角が広いスピーカーが使われます。
BGMや館内放送を拡声するために使われる天井埋込スピーカーは、低い天井に付けるために調整された指向角の広いものや、高い天井に付けるために調整された指向角の狭いものがあります。
このように、指向角はどの範囲の人に音を届けるかによって、スピーカーの特性として調整されています。

スピーカーの指向角

超指向性スピーカーとは?

一般的なスピーカーの場合、指向角の外側にも音が拡がります。-6dBよりもさらに小さい音にはなっていきますが、全く伝わらないということではありません。

指向角と音の届き方


一方、指向角がとても狭く、その外側にはほとんど音を届かせないという特殊なスピーカーがあります。それが超指向性スピーカーです。直進性が高いため、拡がることなくまっすぐに音を届けることができます。
音が拡がらないので、仕切りなどを設けることなくすぐ隣で別の音を鳴らすことも可能です。

たとえば、

  • エスカレーターに今乗ろうとしている人だけに、足元の注意喚起を行いたい。
  • 美術館・博物館の展示品の前にいる人だけに、展示品の説明を行いたい。
  • デジタルサイネージなどで画面の前にいる人だけに、動画の音声を届けたい。
  • 危険なエリアに入りそうな人だけに、音声で注意したい。

このようなシーンでは、特定の場所にいる人にのみ音を届けて、その他の人には聞こえないというのが理想です。
そういったときに活躍するのが超指向性スピーカーです。

超指向性スピーカー利用シーン

超指向性スピーカーは、超音波スピーカーと呼ばれることもあるとおり、40,000Hzなどの超音波を使って音を発生させます。超音波は人間には聞こえない周波数です。直進性が高く、距離による減衰が少ないという性質を持っています。これはそのまま、超指向性スピーカーの音の性質になります。

元信号と変調信号の波

聞こえないはずの超音波を聞こえる音に変える仕組みとしては、ラジオのAM・FMと同様の原理で、振幅変調・周波数変調といったやり方が使われています。
これらを応用した独自の変調方式で実現しているメーカーもあります。

本当に狙ったところだけに音が鳴るの?

超指向性スピーカー聞こえ方イメージ

アレイ構造で超指向性を実現

超音波はもともと直進性が高い性質を持っていますが、さらに指向性を高めるために、超音波を発生する素子をたくさん並べてアレイ構造が作られます。
超音波とアレイ構造により、まるでスポットライトのようにくっきりと狙ったところだけに音を届けることができます。

反射に注意

直進性が高く減衰が少ないために、音が反射しやすくなります。窓や壁などで反射すると、その場所から音が聞こえてきてしまいます。これでは狭い範囲にだけに鳴らしたい音が別の場所にも拡がって聞こえてしまいます。これを防ぐためには、設置の際に真下に向けたり、反射した先には何もない場所と角度にしていたりすることが望ましいと言えます。

一方、この反射の性質を積極的に使うこともできます。たとえば、美術館で展示している絵画に向けて設置することで、その絵画から音が鳴っているような仕組みを作ることができます。

反射の活用

どんな音が鳴るの?どう聞こえるの?

超指向性スピーカーの音の聞こえ方は、実際に体感しないとなかなかイメージがつかみにくいものです。編集部が聞いたときの感想や印象をお伝えします

音質

一般的なスピーカーとは違い、低い音から高い音まで忠実に再生できるスピーカーではありません。
特に概ね400Hzより低い音が鳴りません。
音楽をかけてみるとシャカシャカした音になり、音楽を聴く用途に向いているスピーカーとは言えませんが、アナウンスなどの音声により情報を伝達するには十分と言えます。

聞こえ方

超指向性スピーカーの真正面に立ったとき、音がスピーカーの方向から聞こえてきていると認識はできるものの、耳元のすぐ近くで鳴っているというような不思議な感覚があります。
横に移動して真正面から外れると、一気に音が聞こえにくくなります。ただし一般的な室内では反射の影響があるため、どこかから音が聞こえてくる、といった印象です。
真正面のままスピーカーから徐々に離れていってもほとんど減衰することなく音は聞こえ続けます。

アナウンス音声を再生した状態で、真正面だとスピーカーから15m離れても話している内容がはっきりと聞こえますが、真横だと1mしか離れていなくても何を話しているのか判断できません。
このように、一般的なスピーカーとはかなり違う聞こえ方をするスピーカーです。

おすすめの超指向性スピーカー

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JATO online shop マガジン編集部
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JATO online shop マガジン編集部
米国で最も流通している機種です。ステレオ仕様の専用アンプによる立体的な音感が特徴です。
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編集部より

超指向性スピーカーの音は狭い範囲に長距離届く特徴があります。反射した時の音の聞こえ方は壁から音が飛んでくるようなイメージになります。アトラクションでのキャラクターの声などエンターテインメント的にも使えます。他にも工夫次第で活躍の場がありそうです!

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タグ : スピーカー 業務用 音響設備 超指向性 パラメトリック 音響 超音波
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